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「映像業界の“働き方”白書2026」―制度化と多様化が進む現場のリアル

2025.12.03
Report

2026年、映像業界の働き方は制度整備と多様化が急速に進展。正社員・業務委託・副業・フリーランスといった雇用形態の構成比や平均年収、リモート制作率、契約制度の変化など、最新データから現場のリアルを読み解きます。フリーランス新法の浸透により契約書の整備や報酬明示が義務化され、働き方の透明性と報酬の適正化が進む中、個人のキャリア設計がより重要に。AI編集やXR演出など技術革新の影響も加わり、地理的制約のない働き方や職能の再定義が進行中。今こそ、自分に合った働き方を見極める時代へ。

映像業界の働き方調査2026

雇用形態別割合
2025年の振り返りと2026年の展望(「映像しごと.com」まとめ)
トピック1 映像業界の働き方

2025年から2026年にかけて、映像業界の働き方は制度整備と多様化が進み、個人の選択肢がより広がる年になると予測されます。最新の構成比を見ると、正社員が約55%と依然として業界の中核を担っています。テレビ局や大手制作会社に所属するケースが多く、安定した雇用や福利厚生が魅力ですが、柔軟性や技術更新のスピードには課題が残ります。特に若手層の離職率が高めで、企業側はジョブ型雇用やスキル評価制度の導入を進める動きが見られます。

業務委託は約25%を占め、撮影・編集・CGなど専門職に多く、プロジェクト単位で契約されるスタイルが主流です。報酬水準は比較的高く、自由度もありますが、契約の不安定さや福利厚生の欠如が課題です。2025年に施行されたフリーランス新法の影響で、契約書の整備や報酬明示が義務化され、2026年にはより透明性の高い取引環境が整いつつあります。

副業・複業は約10%で、SNS動画編集やライブ配信など短期・リモート案件が中心。スキル拡張や収入補完の手段として定着しつつあり、企業側も副業人材の活用を制度化する動きが進んでいます。ただし、本業との調整や時間管理の難しさは依然として課題です。

フリーランスも約10%を占め、映像ディレクターやモーショングラフィックスなどに多く見られます。自由度や報酬交渉力が高い一方で、営業・経理・法制度対応などの自己管理負担が大きく、一定のリテラシーが求められます。2026年は契約の義務化が浸透し、取引の安定性が改善される見込みです。

今後は、制度の整備と個人の選択が両立することで、働き方の多様性が本格的に根付き、キャリア設計の自由度がさらに高まる年になるでしょう。

映像業界の働き方:最新分布
  1. 正社員55%
  2. 業務委託25%
  3. 副業・複業10%
  4. フリーランス10%

「映像しごと.com」まとめ(2025年12月現在)

トピック2 映像業界の平均年収

映像業界の平均年収は約450万〜550万円とされ、職種や企業規模によって大きく変動します。2025年時点では、テレビ局や広告系の制作職が高水準を維持する一方、小規模制作会社や若手層では300万円台からのスタートも多く見られました。

職種別では、映像編集者やCGクリエイターが400万〜500万円、ディレクターやプロデューサーは600万〜1000万円超のケースもあります。特に首都圏では平均年収が全国平均を大きく上回る傾向があり、地域差も顕著です。

2026年は、フリーランス新法の浸透により契約書の整備や報酬明示が義務化され、業務委託やフリーランスの報酬体系にも透明性が増す見込みです。これにより、スキルや交渉力に応じた報酬の適正化が進み、個人のキャリア設計がより重要になる年になるでしょう。

業界別平均年収比較チャート
テレビ局
800万
広告制作
700万
映像編集
500万
CG制作
450万
地方制作・若年層
300~350万

「映像しごと.com」まとめ(2025年12月現在)

年別平均年収推移チャート
2018年
420万
2020年
450万
2022年
480万
2024年
500万
2026年
550万

「映像しごと.com」まとめ(2025年12月現在)

地域別平均年収比較チャート(2025年)
首都圏
660万
関西圏
520万
中部圏
480万
地方都市
400万
地方小規模
300万

「映像しごと.com」まとめ(2025年12月現在)

トピック3 リモート制作率

映像制作業界では、2025年時点でリモート制作率が約80%に達し、2019年比では8倍、2023年比でも約1.6倍の急伸を記録しました。特に編集・CG・MA(音声処理)などのポストプロダクション領域では、クラウドツールや遠隔ディレクションの普及により、リモート環境が標準化されつつあります。

一方で、撮影現場や演出業務などのプリプロダクション領域では、依然として対面対応が主流であり、職種によるリモート対応率の格差が残る状況です。2025年には、大手広告代理店や制作会社がハイブリッド型の制作体制を導入し、遠隔でも品質を担保するためのガイドライン整備が進みました。

地域別では、首都圏を中心にリモート対応が進んでおり、地方在住のクリエイターとの協業機会が拡大。これにより、制作コストの最適化と人材の多様化が同時に進行しています。

2026年に向けては、フリーランス新法の浸透により、契約書の整備や報酬の明示が義務化され、リモート環境下でも業務委託の透明性と報酬の適正化が進む見込みです。これにより、スキルや交渉力に応じた報酬体系が形成され、個人のキャリア設計と働き方の選択肢が広がる年になるでしょう。

また、リモート環境での進行管理力やチーム連携スキルが評価されるようになり、技術力だけでなくプロジェクトマネジメント力がキャリア形成の鍵となる時代が本格化します。

リモート制作率の推移(2019〜2025年)
100% 75% 50% 25% 0% 2019 2020 2021 2023 2025

「映像しごと.com」まとめ(2025年12月現在)

トピック4 フリーランス新法の影響:契約書義務化・報酬明示の進展

映像制作業界では、2025年から2026年にかけて、フリーランス新法の浸透により契約書の整備と報酬の明示が急速に進展しています。特に映画制作現場では、従来の口頭契約や曖昧な報酬体系が課題とされてきましたが、制度改正を契機に契約書の義務化と報酬明示の標準化が本格化しました。

添付グラフが示す通り、契約書整備率は2023年時点で約20%と低水準でしたが、2024年には40%、2025年には60%、そして2026年には80%に達する見込みです。報酬明示率に至っては、2023年時点で既に約50%に達しており、2026年には100%の達成が視野に入る状況となっています。

この制度改革は、特にフリーランスや業務委託で働くクリエイターの保護強化に直結しており、契約書の明文化によって業務範囲や納期、報酬条件が明確化され、トラブルの未然防止にも寄与しています。また、報酬明示の義務化により、スキルや実績に応じた報酬体系の構築が可能となり、交渉力や専門性がキャリア形成においてより重要な要素となっています。

制作現場では、こうした制度対応に加え、契約管理ツールやクラウド型の業務管理システムの導入も進んでおり、法令遵守と業務効率化の両立が図られています。特に大手制作会社では、社内ガイドラインの整備や法務部門との連携によって、制度対応済み現場の割合が急速に拡大しています。

2026年以降は、契約・報酬の透明性が担保された環境下で、クリエイター自身が主体的にキャリア設計を行う時代が本格化します。技術力だけでなく、契約交渉力やプロジェクトマネジメント力が評価されるようになり、働き方の選択肢と報酬の納得感が両立する制作現場がスタンダードとなっていくでしょう。

契約整備・報酬明示の進展(2023〜2026年)
100% 75% 50% 25% 0% 2023 2024 2025 2026予測
契約書整備率(青系)
報酬明示率(赤系)

「映像しごと.com」まとめ(2025年12月現在)

技術革新が変える働き方

主な技術トレンド(2026年予測)
  • IMAXフィルムの再興と撮影スキルの再編

    2026年、IMAXフィルムが静音化・軽量化・高解像度化を果たし、映画撮影現場での再評価が進んでいます。これにより、従来のデジタル撮影とは異なる露出・構図・現像知識が求められ、撮影監督やポストプロダクション職のスキル再編が加速。特にフィルム特有の階調表現や粒子感を活かす編集技術が再注目され、若手層にもフィルム教育の機会が広がっています。

  • XR演出と仮想空間設計職の拡大

    AR/VR/3D映像の普及により、没入型体験を前提とした演出設計が主流化。2026年には、XR空間の照明・動線・視線誘導を設計する専門職が拡大し、従来の美術・演出職からの転身も増加しています。特にイベント・教育・医療分野での需要が高まり、UnityやUnreal Engineを用いたリアルタイム演出スキルが映像職の新たな標準となりつつあります。

  • AI編集とHDRカラーグレーディングの進化

    Runway MLやDaVinci ResolveのAI機能により、編集者の役割が「選ぶ」から「設計する」へと変化。さらにDolby Vision 2やHDR10+など次世代規格の普及により、カラーグレーディング職が専門化。2026年には、HDR映像の制作に対応したモニター・素材管理・トーンマッピング技術が求められ、映像の明暗差・色域を最大限に活かす職能が新たな評価軸となっています。

働き方への影響(2026年予測)
  • リモート編集・配信の拡大と副業層の参入

    AIによる編集支援や自動字幕生成ツールの普及により、地方在住者や副業クリエイターの映像制作参入が加速。特にRunwayやVrewなどのツールは、映像編集のハードルを下げ、ポッドキャスト・YouTube・企業PR動画などの分野でリモート編集者の需要が拡大しています。2026年には、クラウドベースの制作環境が標準化され、地理的制約のない働き方が定着しつつあります。

  • XR演出職の増加と仮想空間設計の専門化

    AR/VR/3D映像の普及に伴い、仮想空間を設計・演出するXR職が拡大。2026年には、リアルタイム演出や視線誘導、空間音響設計などに特化した業務委託案件が増加し、UnityやUnreal Engineを活用した演出スキルが求められるように。従来の美術・演出職からXR領域への転換事例も増えており、映像職の職能分化が進んでいます。

  • AI編集者の台頭と職能の再定義

    AI編集ツールの進化により、従来の編集職が「AIオペレーター」へと再定義される動きが加速。実際に、映像編集者がRunway MLやDaVinci ResolveのAI機能を活用し、素材の選定・構成・補正をAIと協働する事例が増加しています。2026年には、AIを操作・監督するスキルが編集職の新たな評価軸となり、編集者の役割が「判断と設計」にシフトしています。

働き方別メリット・デメリット(2026年予測)

2026年の働き方は、より多様化と選択肢の広がりが進むと予測されます。企業の人材戦略や個人のキャリア観が変化する中、それぞれの働き方に求められる役割や価値も変わっていくでしょう。

正社員は引き続き安定性や福利厚生の面で優位ですが、柔軟な働き方への対応が求められ、ジョブ型やスキルベースの評価制度が浸透していく可能性があります。

業務委託は専門性の高い人材に対するニーズが増し、報酬水準も維持される見込みです。ただし、契約の不安定さや制度面の課題は残り、企業側の受け入れ体制が問われる場面も増えるでしょう。

副業・複業は、企業の制度整備が進むことでより一般化し、スキルの掛け合わせによる価値創出が注目されます。一方で、時間管理や本業との調整は引き続き課題となりそうです。

フリーランスは、クリエイティブ分野やIT領域を中心に活躍の場が広がる一方、インボイス制度や社会保障の整備など、法制度への対応力がより重要になります。営業・経理などの自己管理力も引き続き求められるでしょう。

2026年は「どの働き方が優れているか」ではなく、「どの働き方が自分に合っているか」を見極める年になりそうです。柔軟性・専門性・安定性のバランスをどう取るかが、キャリア選択の鍵になります。

  • 正社員
    安定性
    ★★★★★
    報酬水準
    ★★★☆☆
    自由度
    ★☆☆☆☆
    福利厚生
    ★★★★★
    契約の安定性
    ★★★★★
    制度対応の負担
    ★☆☆☆☆

    特徴:制度面・安定性に優れるが、柔軟性は低め。

    業務委託
    安定性
    ★★☆☆☆
    報酬水準
    ★★★★☆
    自由度
    ★★★★☆
    福利厚生
    ★☆☆☆☆
    契約安定性
    ★★☆☆☆
    制度対応の負担
    ★★★☆☆

    特徴:専門性と報酬に強み。契約更新や制度対応に注意。

  • 副業・複業
    安定性
    ★★★☆☆
    報酬水準
    ★★★☆☆
    自由度
    ★★★☆☆
    福利厚生
    ★★☆☆☆
    契約安定性
    ★★★☆☆
    制度対応の負担
    ★★★☆☆

    特徴:バランス型。制度化が進みつつあるが調整力が必要。

    フリーランス
    安定性
    ★☆☆☆☆
    報酬水準
    ★★★★☆
    自由度
    ★★★★★
    福利厚生
    ★☆☆☆☆
    契約安定性
    ★★☆☆☆
    制度対応の負担
    ★★★★☆

    特徴:自由度と報酬交渉力が魅力。営業・法対応が課題。

まとめ:2026年、映像業界の働き方はどう変わる?

2025年から2026年にかけて、映像業界では「正社員」「業務委託」「副業・複業」「フリーランス」といった多様な働き方が共存する時代へと移行しています。正社員は依然として業界の中核を担いながらも、若手層の離職率やスキル評価制度の課題が浮き彫りに。業務委託は専門職中心に報酬水準が高く、自由度もある一方で、契約の不安定さや福利厚生の不足が課題です。

2025年施行のフリーランス新法により、契約書の整備や報酬明示が義務化され、2026年にはより透明性の高い取引環境が整いつつあります。副業・複業はSNS動画編集やライブ配信など短期・リモート案件が中心で、企業側も制度化の動きを強めています。

フリーランスは映像ディレクターやモーショングラフィックスなどで活躍が見られ、報酬交渉力や自由度が高い反面、自己管理力や法制度対応が求められる傾向です。

今後は制度整備と個人の選択が両立することで、働き方の多様性が本格的に根付き、キャリア設計の自由度がさらに高まる年になるでしょう。


付録

法人向け「契約形態別採用支援」
契約書に必須の記載項目とは?

2024年のフリーランス新法により、契約書には「発注者・受託者の名称」「業務内容」「報酬額と支払期日(原則60日以内)」などの明示が義務化されました。契約解除の予告や理由、ハラスメント防止措置、育児・介護への配慮も重要な記載項目です。適切な契約書作成がトラブル防止の鍵となります。

フリーランス新法対応の業務委託契約書テンプレートは、2024年11月施行の「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」に準拠した内容が必須です。以下のサイトで無料ダウンロード可能です。

  • 対応契約種別:委任/準委任契約、請負契約。形式:Word形式(電子契約・書面契約両対応)。特徴:報酬支払期日、契約解除、ハラスメント対策など新法対応項目を網羅。

  • 内容:NG条項比較表、ChatGPT活用プロンプト付き。特徴:報酬額・支払期日・契約解除理由などの明示義務に対応。補足:行政指導や罰則リスクへの対策も記載。

  • 形式:契約書作成ガイド+ひな形。特徴:映像業界にも応用可能な記載例あり。知的財産権や業務内容の明示に対応。

  • 形式:Googleドキュメント/Word形式。特徴:厚労省ガイドライン準拠。発注書との併用も可能。


映像しごと.com とは

映像エンタテインメントに特化

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